長大路線はバスで代替できない! 〜のと鉄道代替バスの現状〜
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 のと鉄道能登線は延長61kmの長大路線ですが、05年4月1日に廃止・バス転換されました。
 まずは、沿線住民の生の声をお聞き下さい。
 
・鉄道で15分がバスで30分、鉄道で20分がバスで40分と、所要時間が倍になった
・しかもダイヤ通り走らず、常時15〜20分遅れ、30分遅れることもある。これではダイヤとはいえない。
鉄道との所要時間を極力短く見せるため、普通乗用車の最速所要時間で設定してあり、ダイヤにもともと無理がある。
・遅れて来るので、(バス停へ急ぐ)乗客の姿が見えても少しも待ってくれない。
・待たされた挙句、混んでいるから立たされ、長時間揺れるバス通学で高校生は疲労困憊。
・(珠洲市の)飯田高校から、帰宅が遅くなると、19:17発で到着は21時になる。鉄道では30分だった。
鉄道 飯田19:37発、小浦20:08着
バス 飯田19:17発、小浦20:30着→30分遅れて21時着
生徒の送迎の負担が日常化している。
・穴水駅で七尾線、その先のJR特急列車と、ダイヤ上は接続しているが、遅れるから間に合わない。予定の列車に接続せず、JRの特急指定席に乗り遅れる事態もあり。
今のダイヤで雪の季節を迎えれば、遅れはさらにひどくなる。
車酔い、トイレなし車両で、金沢や七尾までの通院は事実上不可能。近くの病院への通院回数も大幅に減った。
 
 
 大半はダイヤに関する不満ですが、なぜ時間がかかったり、遅れたりするのでしょうか。
 
1.市街地部ではバス停や信号が多く、通過に時間がかかりますが(下図の赤ルート)、バイパス道路を通るとバスの意味がなくなるため(下図の青ルート)、市街地部の通過を繰り返すことになります。
 
2.バスは市街地で時間をロスするため、出発地を鉄道の時刻に合わせると、到着地の時刻が鉄道よりも遅くなります。逆に到着地を鉄道の時刻に合わせると、出発地の時刻が鉄道よりも早くなります。
 そのため、鉄道のダイヤに合わせたバスダイヤを組もうとすると、途中で系統を分断せざるを得なくなります。のと鉄道の場合は宇出津で大きく分断されました。
 
3.系統が分断されれば、地域内交通は確保されても、地域間(主に隣接・近接市町村間)の移動が不可能になります。
 
4.のと鉄道の場合は、市街地部以外にも、対向車がくる度にスペースを見つけてすれ違わなければならないような、狭い道がかなり続きます。この道は途中に何カ所も待避スペースが作られましたが、このような道路整備を積み上げると数十〜数百億円にもなり、鉄道存続以上の費用がかかってしまいます(写真左下の黒いアスファルト部が拡幅された待避スペース)。
 
 
 この深刻な状況を打開するため、沿線住民は鉄道の復活運動を続けています。廃線跡には雑草が生い茂っていますが、今なら鉄道施設は原状のまま残っているため、若干の保線を行えば復活できる状況にあります。
 
 
 
 
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